故 小澤征爾氏を偲んで…


代表のひとりごと編集者/柏子見

小澤征爾氏が亡くなった。

別にクラシックファンでは無いのだが、僕の人生に大きな影響を与えた人であることは間違いない。

今を去ること40年近く前、20代前半の柏子見は、なけなしの金を握りしめ、アメリカに旅立った。
海外旅行は初めて。
一人旅すら、北海道に数日行った程度の経験値。
もちろん英語も全く喋れない。

今から思えば、若さゆえの勢い…って感じだ。

なぜ海外に行こうと思ったかというと、いくつか理由があったのだが、
その一つが、小澤征爾氏の著書「僕の音楽武者修行」を読んだことだった。

まだ日本人が簡単に海外に行けなかった1959年。
一人の若き音楽家がヨーロッパ一人旅に向かった。
お金も無いのでスポンサーを募るが、知名度も何も無い訳だから集まるはずもない。
しかし、ヨーロッパで宣伝するからとスクーターの会社から1台譲り受け、
それを持って船で旅立つ。
そしてそのスクーターにスポンサーの旗を付け、ヨーロッパを走り回りながら指揮者になるための武者修行が始まる。
なんともドラマチックな展開。

その時、小澤征爾24歳。
当時の柏子見とほぼ同い年。
その後のサクセスストーリーは、皆の知るところになる。

中2からほぼ成長していない柏子見は、この本を読んで大いに感化された訳だ。
「俺も海外に行けば、何かサクセスが待っているに違いない‼
チャンスがバンバン向こうからやって来る‼」と…

その後の柏子見の海外武者修業の話は、長くなるので別の機会に譲るが、
結果的には、色々な事はあったものの、思い描いたサクセスも無く日本に戻って来る事になる…(笑)

ただ、何も得なかったかと言われるとそうでも無かった。

それは、
「環境だけでは何かをつかむ事はできない。どこかで踏み外す勇気が必要」
という教訓。

人は、何か上手く行かない事をまわりの環境のせいにしがちだが、
問題は自分の中にある事が多い。
それに気づくだけで、色んな事が上手く行く。

そのあたり過去のエッセイでも触れているので割愛するが、

Staff-08 海瀬亨は「生え抜きの男」である


それが分かった柏子見は、やっと一皮むけた高1くらいになれた気がした。

そんな経験をするきっかけとなった一冊の本。
そして小澤征爾氏。

心から感謝と御冥福をお祈りしたい。

公開日/2024年02月29日



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