No.21 ケ・セラ・セラ


脇道映画館 〜わたしのジブリ〜編集者/柏子見

唯一映画館で観たことがあるジブリ映画は高畑監督の「かぐや姫の物語」。
タイトルを「余白と表現」で書こうと思って、この作品の水彩画っぽいタッチについて調べていたら
監督の前作、ラフスケッチのようなタッチの「ホーホケキョ となりの山田くん」の
延長線上にあるのが「かぐや姫の物語」作画方法だということがわかったんですが
この「山田くん」が高畑作品の中でも意外に評判が良く、俄然観たくなってきた。
それで観たらこれが個人的にはヒット。

原作は新聞の朝刊の4コマ漫画で、内容はいたってシンプル、
山田家(父母+兄妹+祖母+犬)の日常あるある的なショートストーリーで
それを妄想や劇画タッチに表現を変えるなどして飽きさせない構成になっている作品。
個人的に気に入った部分は、
父母の結婚式からボブスレーに乗ってスタートして人生を表現する件は圧巻でした。

この作画方法は、原作に合わせたシンプル手書き風のタッチで余白がある表現になっていて、
“デジタル彩色でありながら水彩画”のような味わいを目指したらしく、1コマにつき通常の3倍の作画が必要で、
作画枚数は『もののけ姫』の14万4千枚を超える17万枚(かぐや姫の物語は50万枚だそうです)になっているらしく
時間と制作費はすごくかかっているし、制作現場はすごい混乱してたみたいで、
決してヒットした作品ではありません。

そしてクライマックスで流れるケ・セラ・セラ。
「なるようになるさ、もっと楽に生きてもいいんじゃない」と監督に言われているような作品でした。
観たことない人が多そうで、あまりジブリらしくない「ホーホケキョ となりの山田くん」オススメです。

でもこうやっていろいろ調べていて高畑監督を知ると、もう新作を見れないのは非常に残念です。
「高畑 勲 展」も巡回してるようだけど次は福岡。いけない、、、。

 

2021年1月20日

石川和也

公開日/2021年01月20日



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