No.6 ジブリ好きは、いい人だ。


脇道映画館 〜わたしのジブリ〜編集者/柏子見

10年程前に台湾の九份に行った。小高い山肌に迷路状になった階段があり、土産物屋や飲食店が所狭しと、ひしめき合っていた。夜にはオレンジ色の街灯が妖艶な雰囲気で、まさに「千と千尋の神隠し」の舞台を彷彿とさせていた。ただ土産屋の呼び込みがうっとうしくて、観光地化されていて、日本の場末の温泉街のような印象、個人的には。台湾の九份に行ったのも「千と千尋」のモデルとなった場所だから切望して訪れたわけではなく、観光地として有名だから『せっかく台湾に来たから、行っとこ』と軽いノリ。「千と千尋の神隠し」はかなり昔、テレビの金曜日ロードショーで観た事があり、作品の記憶は断片的に思い出せる程度。両親が豚になったり、ねずみ男みたいな顔無しという化け物が水の上を走る一両編成の電車に乗っていたり、遊郭のような建物にデカい蜘蛛の化け物が現れたり。ストーリーは繋がっておらず、結末はどうなったのかサッパリ覚えていない。そうそう、顔のデカい婆さんの声を夏木マリがやっていたことは記憶にある。それともう一つありましたジブリ作品、「となりのトトロ」。これも金曜日ロードショー。田舎の家に真っ黒いて丸い虫がウジャウジャ天井にいたりとか、ネコバスを待っている時にトトロが大きな傘を持ってジャンプしたりとか、この記憶が正解なのかどうかも分からず。話の筋なんか、頭の片隅にもない。ただ、この主人公の女の子の父親の声を糸井重里がやっていた事だけは記憶にある。「千と千尋」もそうだが、声のキャスティングには印象深いものがあったのか。 ホントに困った~。ジブリ作品で観たのはこの2作品のみ。しかもテレビ番組で。だから、思い出せるシーンを綴っただけで感想もない。

そもそもアニメ作品をほぼ観たことがない。最近観たのは新海誠監督の「君の名は」と「天気の子」。話題になった作品なので『とりあえず観とか』そんな軽い気持ちで映画館に行っただけのこと。ジブリに興味がないわけではなく、アニメを観るという選択肢がほぼ皆無。年間100本以上も映画を観るが、アニメ以上に観たい作品がいっぱい有り過ぎるのだ。サスペンスやホラー、ゾンビにSFもの。超大作は必ず抑えて、ツッコミどころ満載のB級作品なんかは大好物。空からサメが降ってきたり、トマトが人を襲ったり、悪魔がスマホから人の魂を吸い取ったり、大洪水で街にワニが大量に出没したり、くだらない内容の作品が観たくて観たくて。だからアニメを観る時間がないのだ。

最後に一言だけ、ジブリ作品が好きな人って、純粋無垢な子供心を忘れない“いい人”って思われがち。超主観的な見解ですが。

 

2020年9月24日
高橋 豊

公開日/2020年09月24日



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