12 あわてんぼうのサンタクロース


脇道音楽堂 〜わたしの一曲〜編集者/柏子見

『あわてんぼうのサンタクロース』

作詞:吉岡治
作曲:小林亜星
弾けないピアノと歌:男の子

男の子:♪あわ、あわ、あわ、てん、
SE:(唐揚げあげてる音)ぱちぱちぱちぱち
男の子:♪あわ、てん、ぼーの、
SE:(唐揚げあげてる音)ぱちぱちぱちぱち
お母さん:ごはんできたよ~
SE:(唐揚げあげてる音)ぱちぱちぱちぱち
男の子:♪あわ、てん、ぼーの
お母さん:ごはんできたよ~
女の子:おにーちゃん!ごはーん!
男の子:(駆けよってきて)カエルが、、、行く!

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古い団地のダイニングルーム
乾いた音色のアップライトピアノ
鍵盤をさぐりさぐりそっと指を置いていく
おぼつかない音にあわせて歌もゆっくり
パチパチ唐揚げあげてるお母さん
ごはんができた ピアノをやめた
ラジカセに走りよってお気に入りのダジャレを一発

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もうずいぶん大昔の話なんだけど、団地の友だちんち遊びにいったら、
小学校んときのカセットテープが出てきたと、聴かせくれた。
再生したらぜんぜんぜんぜん先に進まないの、ピアノと歌が。サンタクロースもあわてないの。
お母さんが唐揚げあげてる音も入ってるし、覚えたてのダジャレも、くっそ楽しかったんだろうな。
あんころの唐揚げはごちそうだったから、まじでちょうど、クリスマスその日だったのかも。
ビデオもあった時代のはずだけど、「家族の日常を音で記録」。って最高だ、と思った。
あったかくてほんわかしてしあわせそうで、ちょっとうるっときた。
あのテープのあの演奏、あの空間のあの様子、ぜんぜん先へ行かないサンタクロース。
1曲に満たない数小節のあの歌が、ぼくんなかでナンバー1のクリスマスソング。だ

2018.11.7
近藤 孝

公開日/2018年11月07日



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