No.7 古本の楽しみ


脇道書道場 〜わたしの一筆〜編集者/柏子見

ブックオフの100円コーナーが好きで、学生時代からよく利用しています。

もちろんキレイな本なんて1冊もありませんが、なにせ安い。
多少のコーヒー染みがついていた所で中身が変わるでもなし、
読めればいいや、と思っているような雑な人間からすると、値段以上に気になる点なんてそうそうありません。
何となく目についた本を特に吟味もせずに買って帰り、意外な作家と出会えて面白ければ儲け物だし、
ハズれてもどうせ110円。
文庫本でも600円とかする新品ではこんな買い方は出来ません。

そうやって買って来た缶ジュースよりも安い本を読んでいると、時々「おっ」と思うものが目につきます。

赤ペンで線を引いた程度のものから、学生が講義内容をメモしたものや、その本を読んだ感想まで。
推理小説の表紙裏に、びっしりと自力の推理が書き込まれていたこともありました。

僕はこの「落書き本」が結構好きで、印象的な落書きは本そのものの内容よりも
鮮明に記憶に残っていたりします。
大学時代に読まされた『フランケンシュタイン』の粗筋は忘れてしまっても、
「花嫁を創ってくれ」と詰めよる怪物に博士が
「ダメだ」と言うシーンがあって、「ええやん、創ったれや」と落書きされていた事だけは覚えています。

キレイな本も(お金があれば)良いのですが、時々出会う印象的で素敵な落書きのために、
例え宝くじで2億円が当たったとしても、僕は安物の古本を買うのではないかと思います。

読書の秋、皆様もぜひお近くのブックオフへ。

2019年11月6日
坂口 雄城

 

 

 

公開日/2019年11月06日



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