29 俗物図鑑


脇道堂書店 〜わたしの一冊〜編集者/柏子見

私はあまり活字は好きではない方だ。
昔から、漫画・TVが大好きである。

そんな私が、30数年前の大学時代、現在似顔絵倶楽部の中村剛氏に「筒井康隆は、たまんなく面白いから読んでみろ」と
勧められ「笑うな」とか「宇宙衛生博覧会」などなど、最初で最後?の読書にのめり込んだ時期があった。
その中で特に印象的な一冊「俗物図鑑」を紹介したい。

俗物図鑑 (新潮文庫) 文庫 – 1976/4/1 筒井 康隆 (著)

今回、読みかえす為にあちこち探したがその本がなく、栄の本屋にも、地元の本屋にも、取り寄せるも在庫がなく、今年に入ってからも本屋を巡った。でもブックオフ(WEB)に一冊あったので購入。(最初から検索すればよかった)
そしてこないだ届いてみて、500ページのまあまあ長編だったことに後悔した・・・脇道堂期限までに間に合うかあ・・
日頃、文庫本なんて読んでいる所を見たことのない嫁さんが、毎日夜な夜な読書にふけっている私を見て、よからぬ小説でも見ていると思っていたに違いない。

ストーリーとしては、とある企業の取引先の接待役として毎日仕事のために飲み歩く主人公雷門課長が、取引会社や、飲み屋などで、とっても癖のある様々な人間たちと出会っていき、会社を辞めて評論家集団のプロダクション「梁山泊」を設立する。
雷門は自らが「接待評論家」、異色な例では「吐瀉物鑑定評論家」吐瀉物でその人物の健康状態・年齢・職業・性格まで判断する。(もちろんナメて)
また、放火常習女の「火事評論家」、出歯亀趣味の「出歯亀評論家」、「麻薬評論家」などなど数十名の奇々怪界な評論家が登場する。
そして色々な場面で文芸評論家、社会評論家など文化人グループと戦い、TV出演中の討論?罵倒、喧嘩。
それがさらにエスカレートしていく。警察、自衛隊までも巻き込んで、てんやわんやの大騒動になっていくお話です。

今回、改めて読んでみて、あの頃の筒井康隆にのめり込んだ感じが蘇ってきました。
この引き込まれるブラックなストーリー、リアルでとんでもなくエグイ描写。
そう描写がすごい。想像を掻き立てられる感じ。登場人物が奇想天外。
その表現がやっぱりエグイ。そしてエロイ。
物語は切れ目なく続き、これでもかこれでもかと。一気に突き進んでいきます。

よろしければ、この感覚をあなたも感じてみてください。(ちょっと大袈裟かな・・・)
でも筒井康隆のブラックユーモアはクセになる。

2018.1.31
柳沢明弘

公開日/2018年01月31日



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