17 まいにち着る女の子服


脇道堂書店 〜わたしの一冊〜編集者/柏子見

1(−)  

これは特殊記号ではない。
私の中学時代の家庭科の成績だ。いち マイナス。
疑う余地も取り繕う余地もなく、評価としては「結構ひどい」分類。かな?
まあ通知表にはマイナスが2つ3つつけれる欄があったはずだから
私よりひどい子はいたかもしれない。
とはいえ私にしたって、いつもこんな点をとっていたわけではない。
この評価には理由がある。

家庭科の授業を思い起こしてほしい。
料理と裁縫、主なところはこの2つだったはずだ。
なんとなくまわりに合わせてキャーキャーやってれば事が済んだ調理実習と違い、
己の不出来が露呈されるミシンを使ってのパジャマ作りが大きな敗因となったのだ。
そう・・・。私はとんでもなく不器用だったのだ。(残念。。)

あれから時は流れ・・・
自分に子供が生まれた。
まわりから手作りの赤ちゃんグッズをいろいろもらった。
でも自分で何かを作ろうとはこれっぽっちも思わなかった。
だって不器用だし。

ここで本のご紹介。

「まいにち着る女の子服(片貝夕起)」

これは型紙付の洋裁HOWTO本で、
子供服のパターンがいろいろついているアレだ。
当初何も作る気はなかったが、
嫁入り道具で持たされたもののホコリをかぶったままのミシンから発せられる無言の圧力と、自分の子供に何も作らないことへの後ろめたさから(子供を授かったお母さんは赤ちゃん用の靴下を編むという刷り込み的イメージ)、

なんとなくやむにやまれぬ体で母の本棚から拝借したのがこの本だ。
大人になってからのリトライには新しい発見があった。
まず。「服作りには失敗などないな!」だ。
仕上がりの丈が長すぎたらタックをつければいいし、
逆に短すぎたとしてもレースやフリルでごまかせるし、
縫い目がガタガタでも他人はそこまで見てないから気にしなければ問題ない!
作るサイズを間違えた、みたいな致命的なミスを犯さない限り、
最終的にはなんとかなってくれるのがホームメイドの服づくり。
私はどっぷりハマってしまった。 

しかしバブーバブーと何を着せても文句も言わずに
なすがままされるがまま作ったものを次々受け入れてくれた子供も、
いつのまにか自我が芽生え、服の好みを訴えるようになり、
残念ながらそのベクトルは、私の趣味とは大きくかけ離れてしまった。
もはや私の服など着てはくれない。

まーさみしくはあるけれど、私の残念な経験を君の人生に多少なりとも生かそうと思う。
うちの子供が選ぶ、小学校の夏の自由研究はたいてい服づくりだ。
ある年は人形の服、ある年は自分の服。
失敗を恐れてなかなか作業が進まない子供に毎年言っている言葉がある。
「なんとかなるから大丈夫!」

親たるもの、こんな場面ではこんなお小言、と自分でも何言っちゃってるのかわからないことを
子供に言っちゃうこともあるが、このセリフは響いてほしい。
だって私の残念な経験に基づいた血の通ったメッセージなんだから。

2017.10.31
江浪 麻理

公開日/2017年10月30日



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