15 kaffee kreise


脇道堂書店 〜わたしの一冊〜編集者/柏子見

はじめに言っておくと今から紹介する本は、
残念なことに日本では手に入れることが難しいかもしれない。
そして、スイスドイツ語が堪能な方ではないと読むのは難しいと思われます。
そして残念なことに私もスイスドイツ語はわかりませんし、
それならなぜこの読めもしない本を紹介するのかと疑問に思うかもしれません。
なぜならこの本には私と私のかわいい友人達の思い出が詰まっているからです。 

この本は、私がスイスに旅行したときにできたとても親切な友達たちが
私に譲ってくれたものです。
一昨年の夏頃、私の友人がスイスの友達に会いに行くから
行かないかと誘ってくれたのが、この本の出会いのきっかけです。
スイスは物価が高く、私も友人も貧乏学生だったため、
彼女たちが生活しているチューリッヒのアパートの部屋の一つを貸してくれました。

彼女たちはとても親切で、
友人はもちろん初対面の私にも大変優しくしてくれました。
ハイキングに連れて行ってもらったり、
シャガールのステンドグラスがある教会にも連れて行ってもいました。
旅路の途中で私がデザイナーをしていたという話をすると、
彼女たちの友人の一人のアトリエへ私たちを招いてくれました。
彼はフリーランスでデザイナーをしていて、
大きなアトリエを10数名ほどのデザイナーと共同でレンタルして仕事をしていました。
そのデザイナー数人とと友人たちで出版したものがこの本です。

「kaffee kreise -ausgewählt zürcher cafes-」 コーヒーサークル チューリッヒの選ばれたカフェ Rafaela Angstman Daniela Chiani Isabel Hammer Raphael Schoen Janette Schranz  著

彼らが実際にチューリッヒ内を食べ歩いて本当に美味しかったカフェやバーを集めて
ひとつの本にしたものだそう。 

実際に彼女達は良いお店をよく知っていました。
カフェや料理の写真は一切なくイラストと解説のみ。
赤、緑、黒で印刷された挿絵は洗練されていました。
よくよく挿絵に描かれている人物を見ると彼女たちがモデルとして描かれており、
この読めない本とも距離がとても近くなった気がします。
この本をお土産で彼女達は譲ってくれたのです。しかも彼らのサイン入りで!
このプレゼントが私にとって、忘れられないヨーロッパでの生活の思い出のひとつになっています。
ページを開くといつでも彼女達がいるのですから。 

この旅行をきっかけに彼女達とは長い仲になり、
今年の夏のバカンスシーズンには日本に会いに来てくれました。
スイスと日本、なかなか会いに行ける距離ではありませんが、
友達でいることには距離は関係ないということを彼女達は教えてくれました。

次の旅行の課題は、これを持って彼女達をカフェ巡りをすること。
そんな友人のつながりを感じ、旅に出ようかなという思いに駆られる私にとっての一冊です。

2017年10月11日
輿石朋香

公開日/2017年10月11日



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